2013年10月07日

水素水が健康・医療分野の未来を拓く

2013.10.5 05:00
日本医科大学 大学院医学研究科 加齢科学系専攻 細胞生物学分野 太田成男

■水素水が健康・医療分野の未来を拓く
 水素には、人の体に有用な抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、エネルギー代謝促進効果があることが、研究機関の実験を通じて明らかになっている。その水素を補給する手軽な手段として、水素水が注目を浴びている。健康・医療分野における水素研究のパイオニアである日本医科大学の太田成男教授に、水素研究の最前線について話を聞いた。

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■水素の効果は多岐にわたる

−−水素水の特徴について教えて下さい
 水素水とは、水素ガス(水素分子、以下「水素」)を含む水で、水に酸素が溶けるのと同様に、水素自体が水に溶けています。

 人が歳を取る中で、老化により健康上のさまざまな問題が生じますが、その主な原因は活性酸素による酸化作用にあります。また最近では、アルツハイマー病や動脈硬化、糖尿病などの病気も、酸化作用が大きな原因であることがわかってきました。

 水素は、体にこうした害を及ぼす悪玉活性酸素(ヒドロキシルラジカル)を選択的に除去し、酸化作用を抑えることが可能です。2007年5月に私たちが「Nature Medicine」誌に、水素の持つ抗酸化作用について世界で初めて論文を発表して以来、国内外の多数の研究機関で、水素が持つ生体への効果について研究が進んでいます。

−−水素が持つどんな効果がわかってきたのですか
 研究機関の実験レベルでは、水素には抗酸化作用のほかに、アレルギー作用の抑制や、代謝作用を活発化させる効果があることなどがわかってきています。

 たとえばアレルギー抑制作用については、岐阜県国際バイオ研究所、名古屋大学大学院医学系研究科などがマウスで行った実験結果を2009年に発表。2011年には日本医科大学から、動物実験で水素に代謝促進効果があることを発表。ついで2012年に筑波大学大学院と兵庫医科大学がアスリートを対象に実験を行い、運動前に水素水を飲むことで乳酸の生成が抑えられ、疲れにくくなるという研究成果を発表しています。水素には副作用がなく、食品添加物(既存添加物)として使用することが厚生労働省から認められており、体にも安全です。

−−国内で最大の売り上げを誇る水素水である「IZUMIO(R)」を、客観的にどう評価されますか
 気体の遮蔽性が高い4種類の素材を重ね合わせたチアーパックを使用し、水素を抜けにくくしている点と、出荷開封時で1リットル当たり1.6mg(1.6ppm)と、水中に溶けている水素の量が多い点は評価できます。いろいろ水素水が販売されていますが、この量はまちがいなくトップクラスです。

 原水を中空糸膜に通して水中の酸素を取り除き(脱気)、水素を水に含ませる膜溶解法を採っているので、電気分解法のように水に溶けているミネラル分を損わず、水のおいしさが生きています。

 今年、アメリカ食品医薬局(FDA)でも水素水が食品として販売されることが認可されました。これにより、各国でも認可が広がり、水素水の海外展開に弾みがつく可能性があります。

−−今後、健康・医療分野などで、水素の応用はどう進んでいくのでしょうか
 健康分野では、米ピッツバーグ大学医療センターや中国の山東大学では、メタボやメタボ予備軍の被験者を対象に研究を行い、水素水を飲むことで善玉コレステロールが上昇したり、悪玉コレステロールが減少するなど、メタボリック症候群の新たな治療・予防手段になる可能性があるという研究論文を発表しています。

 また、水素水は美容分野でも注目されています。プロのエステティシャンや一般のユーザーなどから、水素水を使った「水素パック」で肌のシミやくすみが薄くなったという報告が、多数寄せられています。美容効果を数値化するのは難しいですが、今後有望な研究テーマになるのではないでしょうか。

 一方、医療分野では、動脈硬化および糖尿病(日本医科大学等)、認知症(日本医科大学、鈴鹿医療科学大学大学院、米ピッツバーグ大学医療センター等)など多くの病気への効果を動物実験で明らかにしただけではなく、患者さんを対象とした臨床試験がはじまっています。リウマチ(福岡・原土井病院等)、パーキンソン病(順天堂大学、日本医科大学等)、ミトコンドリア病(名古屋大学大学院、愛知医科大学等)などに対する水素水の効果について、次々と研究が進んでいます。

 私たちは、水素は新たな抗酸化剤として、さまざまな病気の予防・治療に有効だと考えており、近い将来、水素が医薬品として認可されることを目指しています。日本で始まった健康・医療分野への水素の応用研究に、日本発の産業を創り上げるつもりで取り組んでいきたいですね。

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【プロフィル】太田成男
 1951年、福島県生まれ。1974年、東京大学理学部卒業。1979年、東京大学大学院博士課程修了。スイス・バーゼル大学研究所研究員、自治医科大学講師・助教授を経て1994年より現職。活性酸素を水素ガスで効率的に除去できることを実験で突き止め、2007年、生物医学分野の著名な学術誌「Nature Medicine」に研究成果を発表し、世界的に注目を浴びる。分子状水素の作用に関する学術研究の発展を目的とする「分子状水素医学シンポジウム」会長も務める
http://www.sankeibiz.jp/business/news/131005/bsc1310050501003-n1.htm  


Posted by acplan at 19:16Comments(1)ニュース